眠れない夜が、自分にもありました。
音を作りはじめたのは、そこからです。
この記事は、解説ではありません。
わたしが実際に作った音源の、制作ノートです。
対象は、いま公開している中でも自分がいちばん気に入っている一本、
「174Hz + 396Hz + 432Hz|Triple Solfeggio Sleep Stack + Delta Binaural + Brown Noise」(6時間12分)。
なぜその3つを重ねたのか。何に苦労したのか。
うまくいったことも、いかなかったことも、そのまま書きます。
なぜ174・396・432Hzを重ねたのか
睡眠のための音を作るとき、わたしは低い周波数を軸に置きます。
理由は単純で、高い音ほど耳に刺さるからです。
眠るための音なのに、聴いていて耳が疲れてしまっては本末転倒です。
だから深い眠りを目的にした音源では、まず低域から設計を始めます。
この3つは、それぞれ性格が違います。
- 174Hz — いちばん低い土台。身体が沈んでいく方向の音
- 396Hz — 手放す方向。一日の緊張を下ろすための層
- 432Hz — 全体をやわらかく包む層。ここがないと硬くなります
そこに デルタ波のバイノーラル と ブラウンノイズ を重ねています。
ブラウンノイズを選んだのは、ホワイトノイズだと「サー」という高域が耳につくからです。
茶色寄りの、低音が厚いノイズのほうが、夜には合うと感じています。
ここで正直に書いておきます。
これらの周波数に医学的な効果が証明されているわけではありません。
わたしは「効くから重ねた」のではなく、自分が聴いて心地よい重なりを探した結果、この3つに落ち着きました。
苦労したこと①:高い音を、柔らかいまま維持する
いちばん時間を使ったのはここです。
周波数を上げていくと、どうしても耳が痛くなる帯域が出てきます。
かといって単純に高域を削ると、今度は音が死んで、こもった塊になってしまう。
「柔らかいのに、その周波数がちゃんと存在している」
この状態を作るのが、いちばん難しい。
わたしの場合は、2〜5kHzあたりに刺さりが出ていないかを、毎回自分の耳で確認する工程を入れています。
音を重ねるときも、同じ帯域に複数の音を置かないようにしています。
帯域を住み分けさせると、音量を上げなくても、それぞれの音がちゃんと聞こえてくれます。
厚みと、優しさ。この両立が目標です。
苦労したこと②:ループの継ぎ目
長時間の音源には、避けて通れない問題があります。
ループしたときの、途切れ。
6時間、8時間という長さは、当然ながら一度に演奏したものではありません。
どこかで必ず繰り返しが発生します。
そのつなぎ目で「プツッ」と切れたり、位相がずれて音が痩せたりすると、
眠りかけていた人が、そこで目を覚ましてしまいます。
音が途切れないこと。これは睡眠用の音源では、音質そのものより大事かもしれません。
苦労したこと③:混入するノイズ
作っていると、意図しない音が入ることがあります。
処理の過程で発生する小さな異音、
リバーブが濁って生まれるざらつき、
重ねた音同士が干渉して起きる、細かいうねり。
昼間に普通の音量で聴くと気づかないのに、夜、静かな部屋で小さな音量で聴くと聞こえてしまう。
睡眠用の音源は、そういう環境で聴かれます。だから何度も聴き直します。
正直に書くと、これは今も完全には解決していません。
公開したあとで気づいて、作り直したこともあります。
シンギングボウルを再現する難しさ
もうひとつ、ずっと取り組んでいるのがシンギングボウルの音です。
あの音が難しいのは、単純な倍音の足し算では、あの響きにならないことです。
本物のボウルは、金属が複雑に揺れて、うなりを持ちながら減衰していきます。
数式どおりに整数倍の音を重ねると、きれいすぎて、逆に嘘っぽくなる。
かといって崩しすぎると、ただの濁った音になる。
このさじ加減は、今も試行錯誤しています。
変化がないと、人は聴き続けられない
もうひとつ意識しているのが、変化です。
同じ音がずっと続くと、人は飽きるか、逆に緊張します。
だから複数の周波数を入れたり、ゆっくりと移り変わる層を重ねたりして、
「気づかない程度に、ずっと変わり続けている」状態を目指しています。
アクセントになる音は、遠くに置きます。
すぐ耳元で鳴ると、それは眠りを妨げる音になってしまうので。
この音源について、言えることと言えないこと
言えること
- 低域を軸に、耳に刺さらないよう設計しています
- 長時間、途切れずに流れるように調整しています
- わたし自身が、眠れない夜に聴くために作りました
言えないこと
- この音を聴けば眠れる、とは言えません
- 周波数そのものに医学的な効果があるとは言えません
- 感じ方には個人差があります
音は、眠りを助けるかもしれない環境のひとつです。
それ以上のことは、正直に「わからない」と書いておきます。
実際に聴いてみてください
眠れない夜の、遠くのほうで鳴っているくらいの音量で。
それが、この音源のちょうどいい聴き方だと思っています。
これからも、作ったものについては、こうして制作の記録を残していきます。
うまくいかなかったことも含めて。
※本記事は健康・医学的な効果を保証するものではなく、医療の代替となるものではありません。心身の不調がある場合は、医師などの専門家にご相談ください。


